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夜分に人気のなくなった短い坂を下り 車の行き来の減ったすぐそこのバス通りを 小走りで交差して 自販機に目を細め 後ろを通って行く風に吹かれ 煙草を買いにでた僅かな時でさえ 過ぎる間にきみからの 電話がかかってきてはしないかと メールが入ってきてはいないかと 少しだけ肌寒いのがぼくの気持ちのようで 赤くはたはたと点滅する明かりは気持ちの色々で 遠回りしても近づいてしまう公園の 低いブランコ見つめてぶらぶらと 迷子の子供の心境で 入り口をさけ ひざの高さのベンチに座って くさりかける握りこぶしを開いて 右折してゆく車を目でおって さびついたてつぼうに寄りかかった むかしここで きみじゃない女の子と遊んだこと きみと違う彼女とキスしたこと 自転車にのったまま ベンチに座るきみと話し込んだこと 震える唇が何を口走っても許せるぐらい ぼくはきみに優しくしたくって 震える胸を隠すように夜空を見上げて そろそろ帰ろうかと言って ぼくはずっと話していたくって きみと一緒に歩いてぼくのおうちへ 照れたり笑ったりしているうちに きみとまだ話していたくって 番号を交換したくって きみをおくりたくって 携帯電話を忘れるくらい 照れたり笑ったりしているうちに すぐ隣で無防備にしていたから その手を握ってみたくって 黙って見詰め合わず胸が破裂しそうな きみの手とはじめて繋がってみて ぼくのこと 好きなのかなって嬉しく きみのうちから帰るみち 来た道にいまいちど 胸の奥が高鳴るから 点滅する黄信号の下を躊躇しながら 左右に頭をふってバス通りを渡り 少し遠回りしても近づいてくる公園に ぼくの、きみの 真新しく残る 照れくささ、幸せ 思い出す会話を何度も振り返り きみの座っていたベンチを一度だけ 気にしてしまって気のない素振りで 空を見上げながら いまごろきみのいない きみのいたおもかげの 隣に照れながらぼくは座った ポケットに手を突っ込んで 夢の続きを楽しむように しばらくはこうしていたかったけど 過ぎる間にきみからの 電話がかかってきてはしないかと メールが入ってきてはいないかと 煙草をくわえ きみへの思い手探りながら 火をつけるのを忘れてライター ポケットの中で握ったまま 夜分に 家までの短い坂を 上がってゆく つまるところ 連絡は二度ととらないと ハンドル軽く握り締めて さよならって 歩道を歩くあなたをバックミラーで見送った すぐさま意地悪くさよならとメールがきて しばらくして二通目はごめんと そして最後に一通 信号を待つ間だろうと振り返りもせず 辛い思いだけを残し だから忘れられず もう思い出している あなたが寂しいとき はにかんだ笑顔が小さな画面に一つ 文字より確かに浮かぶの知っているから 通いなれた高速道路を降り 景色の静かな都会に向かって 地道にこの心ごと折り返す 優しさじゃなく 返信でもなく 涙をふいて抱き寄せるぼくの手 でもなく むさ苦しいこの愛 でもなく 最後のことば さよなら 言ったわけ お互い知っているから 三度目のメールで繋がった ケイタイ重く握り締め いまも気持ちそばにいて そばにずっといてほしいと なにもかわらないまま同じ気持ちで 素直じゃないけどあきらめないで よぎるあなたが好きだから だいたい引き返すことになる うつむくあなたに出逢ったところで 抱き上げるなんてしないつもりだけど スピードが上がるから事故っちゃいそうで 冷静にアクセルふむけど なんでこんなに急いでるんだろって やきもきして やきもきさせてると思うと さらにやきもきして もうすぐマンションの前だから 前髪とまゆ毛ぐらい整えて 鍵開けといてくれよって メールをいれる暇ももてなく そろそろ朝ごはんの時間だと思うて どっかで一緒に食べようかなとふいに思い 誤解の和解もないまま 電話くらいできるぐらいに気持ちが揺らめき 意固地のわけもなく一息に連れ去りたいって ほんとうの「さよなら」考えるといてほしくなるから さよならのあとにつづく気持ちが嘘偽りないから この身をあなたに寄せて急いでしまう とある午後にてゆったりと 流れる涼やかなせせらぎに 足早な目線がグンと奪われ 照れ隠して一足 川に踏み込む 何より増して無味に冷たく その冷たさに 照れ泣く震った腕の その上の方だけこっそり摩る たゆたゆ揺れる波紋を膝に受け 見入るやいなや一度二度 目線がグンと揺らめき 短く見えた膝下 意外と大きく仰け反ると 即座に何粒かの気泡が生まれ 水面で落ちてゆく汗粒と交わった 温もり確かな足裏の ふっくらとした部分に ささくれ立った石ころが新しくあたる とっさに危ないと思うて持ち上げた足裏から 噴出する鮮血の勢いは柔く 握り締めると一線 乾いた腰に血潮が飛びつき 綿に滲むより早く 肌着に吸い込まれた とある川の流れに身を窶し ひっそりと かがみごしに見下ろした水面の奥 黒く変色した頭影のそのまた奥で 目立って光る両目が恐く 硬直して張り付いた視界の輪郭だけが ゆったりと棚引いていた 薄手のシャツの広くあいた首元から 良好な角度を得た香り臭い風が あっさりと内側に飛び込んできて ズボンのポッケやベルトの余りをも もてあそぶ そうこうして無邪気を感ずるに 風景が自然に美しく ゆえに平凡に思えて グツリグツ 川から這い出し靴を履いてそのひも結び 平素な石を拾うてやみくもに 白グロく揺れるみなもに投げかける 丁度良い加減の小石を見つけては 何度となく投げかける 何度目か 底に沈む静けさを嫌って投げるを躊躇うが 水面と水面の切れる境い目あたりを選んで また投げた とある平穏な午後にて さして無事ではない気がして 立ち竦んで居ると 日の傾きが眩しく感じる時節に嵌り 斜光がなぞる肌っ面の醜さが際立つと我に返り 身に覚えのない凹凸や毛の数々が歴然と浮かび上がり その色合いは生きてナマナマしく ゆえに身近に在ると主張していやらしく すでに輝きの薄れた太陽を気持ち悪く憂いながら 人目を憚り拒絶して 反射の薄くなって黒ばかりのかわっ面を叩いては チロチロと波打つ白を刻み 夜水の流れのまたその消えゆくさまにこの身を浮かべてしまい その身を案じて狂わず一心にまた水面を叩き 黒く整う間際が許せずまた叩き また叩き パシャンと跳ね続けて鳴る水の 音だけ遠く この手も寂しく速度を失い 透き通って響き残る破裂音もやがて消え 薄気味の悪さに首が沈んで体は低くおさまり 疲れた肩が活かってグッと持ち上がる 痛みを和らげようとゴリゴリ骨身をすり合わせ 肩の言う鈍い音を喉から口外へ響かせて 幾分見上げた不恰好な状態を元に戻し 暗い地面と山間のいつまでも続く奥行き 深遠の 上で明るく光る一瞬だろう雲のとても白いことに 顔が照らされたような気がして涙顔が自然と照れ笑い 小さく川名が過ぎる川辺の水音の微かなこだまが 絶えず包んで隙間のない涼けさに 静けさの呼応が伝わる大きな岩にその身 赤裸々にひん剥かれたこの身を ぐったり打ち上げた 一変する午後にて内なる心から沸き上った赤い血の 勢い流れは正常に 敏感さを取り戻した肌に触れる夜風は気持ち良く こころに感じてツウっと視界が揺らぐ 血潮を心臓から脳内に熱く吹き上げ 生理のような過剰なリズムはそこになく 勢いだけのこころはすぐに乾いて凝固し 冷たく点滅する路上の信号の 赤色が何かに反射して部屋の天井を染め 消え 染め 消え 近くの小学校から聴こえてきたアナウンスの信号の 音色が何かに反射して部屋の天井を染め 消え 染め 消え 気付くと朝も終わって次の日の午後まで時間が過ぎて そんな刹那の意識の遅れに呼応して 一つ また一つ 一変した日常にて夢の如き空想に襲われていると いつもの風景が味なものに変わった気がした 老醜をまき散らしているのだろうか いしを土から剥ぎ取っているのだろうか 綺麗で素敵ないしを手に取った束の間 幼く握りしめて楽しんで 沸き立ち 大きないしの押し付けがましさを悟り ここぞとばかりにあげあしをとって 綺麗や素敵の深みを恐れ いしの捨て山にそのいしを投げやって 上っ面にいしを溜め込んで ゆく癖 いつのまに このこころは手作りの境い目を 創ってしまった 昼寝を挟んで 深くこころが沈んで 眠れない夜に 判断をさらに偏屈の方向へと偏らせていると 警察官に捕まった家出息子のようなここちに陥った 受話器を耳にあて 助けてくれ ごめんなさい と泣きたいような だれかれ構わず軽い気持ちで勝負をけしかけるような 諌めるように何度も捕まり こっぴどく締め上げられたような 仕方がないこれはただのじゃんけんなんだと言いたいような わけあって罪を犯し生きたがっているような わけもなく罪もなく息苦しいと わけわからぬ罪人の 自分の罪は何かと かつての因果をいってに背負ったここちで わけわからず 泣きたいような じゃんけんぽん あいこでしょあいこでしょ 奇跡なくあいこがつづいて 餓死して 捜索願いに死体が捕まり 密かだった隠れ家が踏み荒らされ むくろが握り締める死後硬直強い握り拳は いとも容易く広げられ パーにされたような 手にしているものなど この気持ちなど この手の内になく 我がこの空虚 必死で探すこのこころ 川のせせらぎ 信用と言う壇上にのぼれない子供のこころ 我がこのこころ 可愛そうに かわいそうに このこころは誰かを信用したかったし 誰かに信用されたかっただけなのに 意味ありげな言葉を一杯知っていても 吐き出す時は複雑なもの心ではなく その実のところ何も握ってやしない ただのグーだというのに 殴ってくれと握ってゆく 注目してくれと殴り続ける このこころを想像して 涙がとめどなく溢れた 屍骸は身動きなく 反抗なく 死してなお 研究者たる不条理な大人の行いにさらされ あばかれて 皮肉に腐敗して焼き払われ 身動きとれぬものから解き放たれようか 生きる我がこころの声を聞いて 受話器で強く殴られた気がして 耳が痛む 我がこころはうごめく事で縄をほどき しかし明日もまた 健やかとは一瞬の朝を迎え 軽い気持ちと同居する本音を隠し 気付かれるまで とある日常が午後に至るまで あいこを繰り返す 後だしも気付けぬものに 心底従うまい と 後だしも気付けぬものに 心底勝てまい と たむけの言葉に向かってブイサインをし 写真を見つめて結果的に後だしされたような気分になる 頻繁にこのこころを抱き締めて 子の心 そのときめき方 とある昔にも このこころ 何を求めて このこころ ![]() ほんとうのところ とある記憶が夢中にて ぐんにゃり交錯するまま 眠くなって横になってそのまま寝込んで起きるとそこはいつもらしく 平凡な午後が落ち行く部屋の中心 夢か真か定まりきらない危うさを 欠伸のついでに強く噛み締め 拭い去ろうと目を擦り 光の加減すら疑うて ぼんやり時を気にする 予定の詰まり切らないカレンダーから笑い声が聴こえ 笑い声にせかされたような 自由時間の使い方の苦手なことを思い出し 息苦しさの理由は生き様の悪さではないと窓を開け放って まだ興味が沸かずつまらないばかりの六時早々 テレビ番組を眺めて空虚を引き繋いでいると予定なく ゴールデンタイムから映画へと眺めが続き 予定だらけの子供たちの遊ぶ声が夜の公園から聴こえてくるから 冷たいそよ風にカーテンが暴れるのが疎ましいから 窓を閉めにいくと気後れするほど 綺麗な星のつまった夜空に出逢うて 胸の上っ面に爪をたてた
その顔には 誰しもが持つ 古き良きあの頃がうつり込む 月光に導き出された影が 鈍い加減の肌色に 印象の凹凸を与え はっきりとした顔だちも手伝って 白黒をつけようと言われているようで この沈黙に十分満足しているようで ゆえの気品なのか 不思議な心地良さと 清潔さが宿っている 整形した後の すこしなじんだ歪さは 自然まかせに生まれない痛々しさで なんだかいとおしい 声も、影も形もすべてがいとおしい 線香の香りで我にかえる ろうそくが揺れて 月明かりが宵から涼しく 気付けば電気も付けず 僕は眠る万人を眺めていた 眠らずの番人として、ただの幼馴染として 好きなだけ、泣いても、ここはいい
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